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心理学から学ぶ 「ブランディングデザインの法則」
2023.10.18
ブランディングデザインの法則「クレショフ効果」
心理学から学ぶ 「ブランディングデザインの法則」
なぜか入りたくなるお店やつい見てしまうポスター、思わず買いたくなる商品など。
心理学から学ぶ「ブランディングデザインの話」を掲載しています。
皆さんこんにちは。ブランディングデザイン会社「株式会社SUPERBALL」です。
秋になり、肌寒く感じる日も増えてきましたね。皆さんはどのようにお過ごしでしょうか。
10月に入ると街でかぼちゃの装飾を見かけることが増えてきました。
もう時期ハロウィンですね。 この時期になると、街中にかぼちゃの装飾やコウモリ、お化けの飾りが飾られて、なんだか街の裏の一面を覗いているような気分になります。
ただ街に飾り付けがされているだけなのに不思議な感覚ですね。
さて、今回はそんな無意識の関連付けがもたらす心理学、「クレショフ効果」をご紹介したいと思います。
「クレショフ効果」とは?
クレショフ効果とは、無関係の画像や映像を連続して見た場合、それを見た人が「無意識に関連づけて考えてしまう心理作用」のことです。
例えば、病院の画像の次に人の画像を見ると、実際は何の関係性のない画像であっても、自然と「この人は具合が悪いのではないか?」などのイメージを連想してしまうことはありませんか?
このような無意識的な関連付けをしてしまう心理作用のことをクレショフ効果と言います。
クレショフ効果は、1922年にロシア(旧ソビエト連邦)の映画監督であり編集技師でもあるレフ・ウラジミロヴィチ・クレショフ氏のモンタージュ理論で示されました。
モンタージュ理論とは映画理論のことで、本来関係のない映像を編集でつなぐことにより、連続した前後の映像に関連性を持たせる理論のことです。
このモンタージュ理論の検証の最中に発見されたのが「クレショフ効果」です。
「クレショフ効果」の実験
では実際クレショフ効果という名前の由来になった、レフ・クレショフ氏の行った実験(1922年)について、どのような実験なのか見ていきましょう。
クレショフは、モンタージュ理論におけるクレショフ効果を確認するために3つのグループに写真を見せました。
Aのグループには「スープ皿のアップ」
Bのグループには「遺体が入った棺」
Cのグループには「ソファに横たわった女性」
という異なる写真を見せ、次にすべてのグループに「無表情の男性」の写真を見せて、それぞれどのような印象を持ったかを聞くという実験を行いました。
実験の結果は、Aの「スープ皿のアップ」を見たグループは「空腹」を、Bの「遺体が入った棺」を見たグループは「悲しみ」を、Cの「ソファに横たわった女性」を見たグループは「欲望」をというように、「無表情の男性」の写真にそれぞれ異なる印象を投影したのです。
「フォン・レストルフ効果」の例
実例:1
上記の画像はネットショッピングに掲示されている「柔軟剤」の商品ページの一部です。
このようなネットショッピングの商品ページの中にもクレショフ効果が見られることがあります。
例えば上記の商品では
【柔軟剤の画像 → 洗濯シーンを表現した画像 → 衣類を着用している画像】
というような順番で構成されています。 柔軟剤の軽やかさ、着心地の爽やかさを宣伝するために白を基調とした衣類の写真を挟むことで、「さっぱりとした香りの柔軟剤だ」というイメージを与え、清潔感と爽やかさの印象をつけています。
実例:2
また、先ほどの例のように、画像を連続して表示させず一枚の画像のみでもクレショフ効果を用いることができます。
上記の商品は「植物」と「ストレートヘア」の女性を画面に入れることで「天然素材」、「サラサラの髪になる」といった連想をさせ、シャンプーの天然素材を宣伝しています。
ネガティブな連想に注意しましょう
いかがでしたか?今回は無意識の関連付けがもたらす「クレショフ効果」についてのお話でした。
クレショフ効果はユーザーにどのようなイメージを与えたいかを意識することで、直接的な言葉を使わなくてもユーザーに連想してもらうことによりメッセージを伝えることができます。
一方で、不用意に素材を選択してしまうと本来伝えたいメッセージとは違う連想をされてしまうことがあります。
ユーザーに的確な連想をしてもらい、メッセージを伝えるために何が必要なのか意識する必要がありますね。