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心理学から学ぶ 「ブランディングデザインの法則」
2023.06.22
ブランディングデザインの法則「ストループ効果」
心理学から学ぶ 「ブランディングデザインの法則」
なぜか入りたくなるお店やつい見てしまうポスター、思わず買いたくなる商品など。
心理学から学ぶ「ブランディングデザインの話」を掲載しています。
こんにちは。ブランディングデザイン会社「株式会社SUPERBALL」です。
皆さん、任天堂の脳トレゲームをやったことはありますか。
DS版のゲームでは、「脳年齢チェック・色の識別」という有名なステージがあります。
遊び方は、画面に表示される「色の名前」の「文字自体の色」をゲーム機のマイクに向かって声を出して答えます。
一見、シンプルなゲームに見えるが、プレイヤーは思いのほか混乱してしまいます。
では、混乱を引き起こす原因は何でしょうか。
色を表す文字自体とテキストの色が矛盾しており、プレイヤーが情報を処理する際の負荷が増え、判断力が低下し、このような現象は、ストループ効果と呼ばれます。
ストループ効果とは?
ストループ効果とは、人が言葉や色彩などの情報を処理する際に生じる認知的な現象です。この効果は、1935年にアメリカの心理学者ジョン・R・ストループによって発見されました。
通常、言葉や色彩が一致している場合、それらの情報を処理するのは比較的容易です。しかし、言葉や色彩が矛盾している場合、人は自動的な反応を抑制することが難しくなり、処理に時間がかかるという現象が起こります。
つまり、意図的に与えられた情報と矛盾する情報によって、認知的な干渉が生じる効果です。
ストループ効果による問題例
ストループ効果は、このような状況でも発生します。
例えば、信号機の赤い信号が点灯しているときに「青」と表示される場合、運転手は赤い色に注意を払いながら、テキストの意味を処理する必要があります。これにより、反応時間が長くなり、注意が分散します。
また、製品のパッケージデザインで、テキストの色が商品の内容や特性と一致しない場合、購買者が正確に情報を把握するのに困難を感じることがあります。たとえば、健康飲料のパッケージで「緑」の文字が使用されているが、実際の飲料がオレンジ色である場合、消費者は商品の内容を正確に理解するのに苦労するかもしれません。
これらの例は、ストループ効果が私たちの日常生活においてどのように影響を与えるかを示しています。テキストと色の関係が一致しないと、情報処理において混乱や遅延が生じる可能性があるため、デザインやコミュニケーションの観点から重要な考慮事項となります。
ストループ効果を避けましょう
以上の紹介から、ブランディングデザインにおける色の大事さがわかるようになるでしょうか。
デザインする際、ストループ効果を回避するためには視覚的な整合性、誤解を招く要素を排除するなど、読み手の認知負荷を軽減する工夫が重要です。
印象的なデザイン例「マクドナルド」
例えば、マクドナルドの「ゴールデンアーチ」のロゴは、黄色と赤の組み合わせが明るく活気のあるイメージを与え、消費者に快感や幸福感を呼び起こす効果があります。このデザイン要素は、ストループ効果によって感情的な結びつきを強化し、ブランドへの好意やポジティブな感情を喚起します。
色により印象が変わる「Nike」
有名なスポーツブランド「Nike(ナイキ)」から考えてみましょう。
Nikeのブランディングデザインは、シンプルで特徴的な「スウッシュ」のロゴと、白い文字で書かれた「NIKE」という文字列で構成されています。ストループ効果の観点からは、このロゴが特定の色で描かれた場合、人々の認識や感情に影響を与える可能性があります。
もしNikeのスウッシュのロゴが赤で表示された場合、赤色が人々に与える情報や意味がロゴに関連づけられる可能性があります。赤は情熱や活力を象徴する色とされています。それによって、Nikeのブランドイメージがより活気に溢れたものとして受け取られるかもしれません。
このように、ブランディングデザインの要素がストループ効果を通じて色彩や形状の認識、情感的な結びつきに影響を与えることがあります。ブランドは意図的にデザイン要素を活用し、ターゲットオーディエンスに特定の感情や印象を伝えることで、ブランド認知度や忠誠度の向上を図ることができます。
ただし、ブランディングデザインとストループ効果の関係は複雑で、個々の要素や文脈によって異なる影響が生じる可能性があります。効果を正確に予測するためには、ターゲットオーディエンスや文化的背景、競合他社との差別化などを考慮に入れる必要があります。