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心理学から学ぶ 「ブランディングデザインの法則」
2024.12.10
ブランディングデザインの法則「フレーミング効果」
心理学から学ぶ 「ブランディングデザインの法則」
なぜか入りたくなるお店やつい見てしまうポスター、思わず買いたくなる商品など。
心理学から学ぶ「ブランディングデザインの話」を掲載しています。
皆さんこんにちは。ブランディングデザイン会社「株式会社SUPERBALL」です。
冬の寒さが本格的になり、街中にクリスマスのイルミネーションが輝き、年末の雰囲気が漂い始めましたね。寒さが厳しいこの季節、心も体も温かく保つことを大切にしたいものです。
さて、皆さんは情報を受け取ったとき、その内容がどのように自分の判断に影響を与えるかを意識したことはありますか?同じ情報でも、その提示の仕方によって感じ方が異なることがあります。今回は、そんな心理学的な現象「フレーミング効果」について紹介します。
「フレーミング効果」とは?
フレーミング効果とは、同じ情報であっても、その提示の仕方によって人々の判断や行動が変わる現象を指します。情報の「フレーム(枠組み)」が変わることで、人々は異なる受け止め方をするのです。
例えば、次のような表現の違いを考えてみましょう。
ポジティブなフレーム:
「この医薬品を使用した人の80%が症状の改善を実感しました。」
ネガティブなフレーム:
「この医薬品を使用した人の20%には症状の改善が見られませんでした。」
どちらも同じデータに基づいていますが、前者の方がより肯定的な印象を与え、多くの人がその製品を信頼しやすくなります。
この現象は広告、マーケティング、そしてブランディングデザインにおいて非常に重要なツールとなります。
日常の中のフレーミング効果
フレーミング効果の背後にある心理は、人間がリスクや不確実性を避けたいという本能に基づいています。ポジティブなフレームは安心感を与え、ネガティブなフレームは危機感を煽ります。これを適切に活用することで、ブランドの印象を戦略的にコントロールすることができます。
たとえば、以下のような場面でフレーミング効果が働いていることに気付くかもしれません。
・食品ラベルの表示
「脂肪分20%カット」と記載された製品と、「まだ脂肪が80%残っています」と記載された製品では、前者の方が健康的なイメージを持たれます。
・セールスのキャッチコピー
「限定100個!」と「まだ100個残っています!」では、前者の方が希少性を感じさせ、購買意欲を刺激します。
ブランディングデザインにおけるフレーミング効果の活用
では、このフレーミング効果をどのようにブランディングデザインに活用できるのでしょうか。具体的な事例をいくつか挙げてみます。
1. 製品の利点を強調するポジティブフレーム
商品の特徴をポジティブに表現することで、消費者に好意的な印象を与えることができます。
例:「このアプリを使えば、作業効率が50%向上します。」
「この洗剤は、従来品の2倍の速さで汚れを落とします。」
2. ネガティブフレームで危機感を刺激
一方で、危機感を煽る表現を加えることで、行動を促すことも可能です。
例:「この保険に未加入の場合、思わぬ医療費が発生する可能性があります。
「適切なセキュリティ対策がないと、あなたのデータが危険にさらされるかもしれません。」
3. 複数のフレームを組み合わせる
ポジティブとネガティブのフレームを適切に組み合わせることで、説得力をさらに高めることができます。
例:「このスマートフォンは、毎日2時間節約できる一方で、電池が切れる心配がありません。」
いかがでしたか?今回は「フレーミング効果」についてお話ししました。
フレーミング効果は、ブランディングデザインにおいて非常に強力なツールですが、使用に際しては注意が必要です。この効果を過度に活用すると、ブランドの信頼を損なうリスクがあるため、正確で誠実な情報提供が重要です。消費者は情報に敏感であり、不自然な印象を受けるようなフレームにはすぐに気付くことが多いため、透明性を保つことがブランドの信頼性を築く鍵となります。
また、フレーミング効果を活用する際は、多数派の意見が必ずしも正しいとは限らないことを理解することも大切です。ブランドは自社の核となるメッセージを明確にし、他の視点に流されず、独自の価値観を維持し続けるべきです。消費者の心に響くためには、フレームの使い方に工夫を凝らし、ターゲット層や状況に応じた適切なアプローチを心がけましょう。
フレーミング効果を上手に活用し、消費者との深いコミュニケーションを目指すことで、心理学の力を取り入れたデザインの可能性を広げ、長期的なブランドの成功を目指していきましょう。