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心理学から学ぶ 「ブランディングデザインの法則」
2022.12.22
ブランディングデザインの法則 「ピーク・エンドの法則」
心理学から学ぶ 「ブランディングデザインの法則」
なぜか入りたくなるお店やつい見てしまうポスター、思わず買いたくなる商品など。
心理学から学ぶ「ブランディングデザインの話」を掲載しています。
こんにちは。早いもので2022年もあと少しで終わろうとしておりますが、皆さんはどんな一年だったでしょうか。何かやり残したことはないですか?
別に年明けでも構わない事だったりするのに、なぜか年内にやってしまおうとバタバタしがちな江口です。今回はそんな年の瀬にちなんだピーク・エンドの法則について書いてみたいと思います。
人は過去のある出来事を思い出す時に、最も感情が動いた時の記憶(ピーク)と、最後の記憶(エンド)の2つの印象でその出来事全体の印象を決定するという評価基準に関する法則です。
皆さんも過去のあらゆる物事に対して良い印象、悪い印象、様々な印象をお持ちだと思いますが、その印象には「ピーク」と「エンド」という2種類の記憶が大きな影響を与えているのかもしれません。例えば山登りをしたとして、登山中はとても過酷だったが頂上に登って良い景色を見て最高の気分になった。下山するときも雨に打たれて辛かったが、下山してから麓の温泉に入り気持ち良く帰路についた。この場合頂上に登った時の記憶が「ピーク」として、温泉に入った時の記憶が「エンド」として記憶に残り、全体的には「登山最高!」という印象になるはずです。逆に言えば、「ピーク」でも「エンド」でもない記憶は全体の印象に影響しにくい。とも言えます。
ディズニーランド等の人気テーマパークでは、アトラクションに行列ができ待ち時間が長いにも関わらずリピーターも多く人気なのは、この法則が働いているからとも言われているようです。どれほど長い時間並んでもアトラクションに乗って楽しめば、そちらの経験の方が強く印象に残り、満足感を得られるからと考えられています。アトラクションに乗っている5分程度の時間の中に「ピークとエンド」が詰まっているのですね。最後に夜のパレードを観てから帰路につく方も多いと思いますが、この経験も全体の印象に影響を与えてそうです。
またIKEAでは広い店内を歩いてお会計をした後に格安でアイスが食べられますが、こちらも「ピーク・エンドの法則」を利用しているのではないかと言われているようです。長く歩いて疲れた印象よりも最後のアイスのポジティブな印象の方が強く残るように施された工夫ですね。
「ピーク・エンドの法則」を利用して問題を解決したこんな事例もあるようです。
ある空港で到着後に預けた荷物が出てくるのが遅く乗客から不満がでていました。そこでこの空港では、飛行機が到着したゲートから手荷物受取りの場所までの道のりを、わざと遠回りになるように誘導して長い時間歩かせたそうです。途中で長く歩かされますが、その分最後の荷物の受けとりに要する時間は結果的に短縮されます。「ピーク・エンドの法則」により、途中のネガティブな経験よりも最後のポジティブな経験の印象が勝り、不満もなくなったということです。
行動心理の知見と全体を把握していたからこそできた解決策ではないでしょうか。
デザインだけに留まらず、トータルにデザインマネジメントを行うこと、全体を把握してプランニングすることの大切さを考えさせられました。
いかがでしたでしょうか?
終わりよければ全て良し「ピーク・エンドの法則」のご紹介でした。
残り少ない2022年ですが、色々あったけど良い年だったと印象付けるためにも、最後に良い経験をして年越しする計画を立ててみてはいかがでしょうか。