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心理学から学ぶ 「ブランディングデザインの法則」
2023.01.13
ブランディングデザインの法則 「ロマンティックレッド効果」
心理学から学ぶ 「ブランディングデザインの法則」
なぜか入りたくなるお店やつい見てしまうポスター、思わず買いたくなる商品など。
心理学から学ぶ「ブランディングデザインの話」を掲載しています。
新年、あけましておめでとうございます。 ブランディングデザイン会社「株式会社SUPERBALL」です。
昨年も多くの皆様に大変お世話になりありがとうございました。心より感謝申し上げます。「世界を1%でも面白く。」をVISIONに新たなことへのチャレンジ精神と真摯な遊び心をもって、世界をほんの少しづつでも面白くしていけるよう精進してまいります。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
一年の始まりを祝う日本のお正月では、「赤」の色は欠かせません。「赤」は、慶事、祭事、お祝い、情熱的、活動的、意欲的、喜び、明るい、暖かい 喜びを表す色です。
「ロマンティックレッド効果」とは
そんな縁起の良い色「赤」にまつわるお話です。「ロマンティックレッド効果」というのをご存知でしょうか?ロマンティックレッド効果とは、2008年に米ロチェスター大学の心理学教授アンドリュー・エリオット氏と研究者のダニエラ・ニエスタ氏によって研究成果として発表されたもので、女性にとって赤色は大きな味方になることが示されています。女性の写真のシャツを赤と青にして、どちらの色が女性の魅力度に影響を与えるかを研究した結果、青いシャツに比べて赤いシャツの女性を男性はより魅力的であると感じることを示しました。
では、どうして男性は「赤」を纏う女性を魅力的に感じるのでしょうか?チンパンジーのメスのように動物のメスの中には繁殖期になると体の一部を赤くしてオスを誘うという行動が見られることがあります。つまり赤色というのは生物学的なルーツから、性的な行動を引き起こすひとつのシグナルなのです。そのため、人間の男性も女性からの赤い刺激を受けると、性的な情報を受け取って魅力的に見えてしまうと言われています。
赤色と男性の関係
では、赤色と男性の関係はどうでしょう。エリオット氏らが行った研究では、被験者の女性に「赤いシャツ」と「グレーのシャツ」の男性の写真を見せて、どちらの色が男性の社会的地位と将来の成功の可能性を感じるかを研究した結果、「赤いシャツ」を着た男性のほうが、「グレーのシャツ」の男性よりも地位が高く、将来成功する潜在能力が大きいと判断したそうです。男性の政治家が選挙運動で支持を呼びかけるときや、有権者に信頼してほしいときに、よく赤いネクタイを使うのはこの効果を狙っているからなのです。
「赤」は空間においても魅力的な効果
「赤色」は空間においても魅力的な効果があります。赤色は交感神経を刺激し活動的な状態に導く色なので、暮らしに元気や活力をもたらしてくれます。キッチンや子どものプレイルームのような活動的な部屋に適しています。また、無気力な状態に刺激を与える色なので、積極的に発言してもらいたい会議室やミーティングルームにも、赤の小物や花を置いておくと良いでしょう。暖かさを感じる色なので、北向きの部屋や光の少ない寒い部屋に取り入れたいカラーです。ただ、神経を高ぶらせる作用があるので、落ち着いて過ごしたいリビングや寝室、勉強部屋には向いていません。クッションや小物などアクセントカラーとして取り入れましょう。
赤色は見る人を興奮状態にさせるため、実際の時間よりも時間の経過を早く感じさせる効果があります。ファーストフードのインテリアに赤色やオレンジ色などの暖色系の色が多いのは、料理をおいしく見せる効果の他に、体感時間を早くして客の回転率を早めることができるからです。赤は膨張色なので壁が少し膨らんで見えるため、空間を狭く感じさせます。そのため、その場の人々に親密な気分を抱かせる効果があるのです。
私の知人の会社には、壁や天井、家具にいたるまで、すべてが「赤」と「青」で構成されている2つの部屋があるそうです。「赤」の部屋は、クライアントとの商談や新製品の紹介など積極的にアピールしたい時に使い、「青」の部屋は、大事な契約や方針の決定など冷静な判断が必要な時に使用するそうです。
このように「赤色」が私たちの認識と行動に影響を与えることが知られており、赤いシャツや赤いネクタイ、赤色を取り入れたインテリアなど、自分や空間をどのようにアピールしたいかを考えて、効果的に赤色を活用していきましょう。
2023年が皆様にとって「赤色」のように情熱的で、魅力あふれる一年になることをお祈りしています。