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心理学から学ぶ 「ブランディングデザインの法則」
2024.08.09
記憶に残るブランド作り「ゼイガルニク効果」
心理学から学ぶ 「ブランディングデザインの法則」
なぜか入りたくなるお店やつい見てしまうポスター、思わず買いたくなる商品など。
心理学から学ぶ「ブランディングデザインの話」を掲載しています。
皆さんこんにちは。ブランディングデザイン会社「株式会社SUPERBALL」です。
8月に入り、夏の暑さが本格的になってきましたね。暑さに負けず、涼しい映画館に行きたくなることも増えてくるのではないでしょうか。
皆さんは、映画館で映画の予告編を見た後、続きが気になって仕方がない経験はありませんか?また、テレビドラマの最終回が近づくと、次のエピソードが気になって仕方なくなることがありますね。
今回はそんな「未完了のタスクや情報が人の記憶に残りやすい」効果、「ゼイガルニク効果」について紹介したいと思います。
「ゼイガルニク効果」とは?
ゼイガルニク効果は、リトアニア出身の心理学者ブリュマ・ゼイガルニクが提唱した概念です。
彼女の研究によれば、人は完了していないタスクや中断された作業を完了したものよりも記憶に残しやすいことが明らかになりました。この効果は、心理学の基礎研究として始まりましたが、その応用範囲は広がり、教育、仕事、マーケティングなど多岐にわたっています。
この効果の背後にあるメカニズムは、心理的な「未完結感」にあります。
人は未完のタスクを抱えると、その完了に向けて無意識のうちに精神的なリソースを割き続けます。これは、未解決の問題を解決しようとする人間の本能的な欲求に根ざしています。実生活では、見ているテレビドラマの続きが気になって仕方がない、読みかけの本をどうしても最後まで読みたくなる、といった経験がこの効果の一例です。
ブランド記憶とゼイガルニク効果
ブランド記憶は、消費者がブランドに対して抱く全体的なイメージや感情、過去の経験に基づく記憶です。強いブランド記憶を持つことは、消費者の購買行動に大きな影響を与えます。ブランド認知とブランド記憶は密接に関連しており、記憶に残るブランドは再購入や口コミなどを通じて高いロイヤルティを築くことができます。
ゼイガルニク効果を利用することで、ブランドは消費者の記憶に強く残ることができます。例えば、広告やキャンペーンで未完のストーリーやメッセージを提示することで、消費者の興味を引き、後続のメッセージやコンテンツに対する期待を高めることができます。これにより、消費者はブランドに対してより深い関与を持ち、ブランド記憶が強化されます。
ゼイガルニク効果を活用したブランドデザイン
ストーリーテリングと未完のメッセージ
未完のストーリーを活用することは、ゼイガルニク効果を利用するための効果的な方法です。広告キャンペーンやプロモーションで、一部の情報をあえて完結させずに提示することで、消費者の関心を引き続けることができます。例えば、次のキャンペーンや新商品の発表に対する期待を高めるために、ティーザー広告を利用することが考えられます。
インタラクティブコンテンツの活用
ゲーム、クイズ、アンケートなどのインタラクティブコンテンツも、ゼイガルニク効果を活用する手段として有効です。未完のタスクとして設定することで、消費者はそれを完了させるためにブランドと継続的に関与するようになります。例えば、ウェブサイトやSNSで定期的に更新されるゲームやチャレンジを提供することで、消費者のエンゲージメントを高めることができます。
継続的なエンゲージメントの設計
シリーズもののコンテンツや連続した広告も、ゼイガルニク効果を利用した戦略として効果的です。顧客を引きつけ続けるために、ストーリーベースのマーケティングキャンペーンを設計し、次回の発表やイベントに対する期待を持たせることができます。これにより、ブランドへの関与が持続し、記憶に強く残るようになります。
まとめ
ゼイガルニク効果を取り入れたブランドデザインの実践方法では、ブランドの特性やターゲットに合わせて適用する方法を検討し、計画段階から実行、評価までを通じて効果的な施策を展開します。
過度に使用すると顧客にストレスを与えるリスクがあるため、バランスを保ちながら効果的に活用する注意点を解説します。ゼイガルニク効果はブランド記憶を強化し、消費者の心に残るブランドを作るための強力なツールです。初期の印象を大切にし、それを持続的に強化することで顧客の心をつかみ、信頼性のあるブランドを築くことができます。
今後もゼイガルニク効果のさらなる研究と応用を通じて、ブランドデザインにおける新たな可能性を探求していきましょう。