web magazine
心理学から学ぶ 「ブランディングデザインの法則」
2023.08.03
ブランディングデザインの法則「ウィンザー効果」
心理学から学ぶ 「ブランディングデザインの法則」
なぜか入りたくなるお店やつい見てしまうポスター、思わず買いたくなる商品など。
心理学から学ぶ「ブランディングデザインの話」を掲載しています。
皆さんこんにちは。ブランディングデザイン会社「株式会社SUPERBALL」です。
ジメジメとした梅雨も明け、眩しい程の晴天が続いています。こうも晴天が続くと、長期的な旅行を計画している人も多いのではないでしょうか?
旅行に行くとついあれもこれもと買ってしまいがちですが、皆さん何かを買うにあたって、口コミやレビューを参考に買うことはありますか?
今回はそんな口コミやレビューによって信頼性を与える効果、「ウィンザー効果」についてお話ししたいと思います。
「ウィンザー効果」とは?
ウィンザー効果とは、ある事柄について当事者が自ら発信するより情報よりも、他者を介して発信された情報の方が、信頼性を獲得しやすいとする心理効果です。
ウィンザー効果の名称である「ウィンザー」とは、アーリーン・ロマノネスによる著書『伯爵夫人はスパイ』において、登場人物であるウィンザー伯爵夫人が述べた「第三者の褒め言葉が何よりも効果的だわ」に由来しています。
「ウィンザー効果」が起こる理由
ウィンザー効果が起きるメカニズムについて説明します。
Aさんが「自分のサービスは素晴らしい」と言うとします。人によっては「本当なのか?」「話を盛っているのでは?」という感じ方もできます。
このように、当人からの言葉は信憑性に欠ける場合があります。反面、Bさんが「Aさんの会社のサービスは本当に素晴らしい」と言う方が、信憑性が増しますよね。
ここに1つ条件がありますので注意が必要です。それは、第三者に対して利害関係がない場合のみ、ウィンザー効果は効果的であるということです。友人間の話や、口コミ、レビューなどは、利害関係が存在しない場合がほとんどです。なぜなら、ウソを付く必要がないからです。
利害関係がなければないほど、嘘をつく必要もなくなるので信憑性が増すというわけです。より信憑性を高めるためにはより多くの第三者からの声を集めることによってさらに信憑性が増していきます。
「ウィンザー効果」の必要性
ウィンザー効果は、マーケティング戦略での有用性が高いことを理由に注目を集めています。
ネットショッピングや通販で用いられる体験談や口コミは、ウィンザー効果の代表的な活用例です。
ウィンザー効果をマーケティングに応用すると、自社サービスの信頼性や好感度の向上が期待できます。
消費者の行動や意思決定に大きく影響するため、ビジネスにおけるウィンザー効果の必要性は高いといえるでしょう。
ウィンザー効果のメリット
ウィンザー効果には、人間関係を円滑にするあらゆる要素が含まれています。人への影響、そして購買意欲をもり立てる効果的なメリットです。ここでは、ウィンザー効果がもたらすメリットをより詳しく紹介していきます。
メリット1:コミュニケーションの円滑化
ウィンザー効果を活用すると、コミュニケーションが円滑に進むようになります。「他人とうまくいかない」と感じたときは、ウィンザー効果を利用して、第三者から相手を褒めてもらう、気遣ってもらうなどの工夫ができます。人を介して伝わる気持ちは、相手に予想以上の感動をもたらすでしょう。
わだかまりが解けてコミュニケーションが円滑になり、人との交わりが増えて人間関係が豊かになっていきます。
メリット2:ビジネスに役立つ
ウィンザー効果を活用すると売り上げが伸びる可能性が高くなるので、会社の発展に貢献できます。口コミや顧客の意見をSNSや広告で拡散してよい評判を広めることで、ウィンザー効果が期待できます。
メリット3:いい印象付けをする
ウィンザー効果は悪い印象を抱きにくくするので、いい印象付けをする際には効果的です。
人間は直接、褒められるよりも、第三者を介して褒められたときの方が信用します。面と向かって相手を褒めたり商品のよさを力説したりしても、特に初対面の場合は何か裏があるのではないかと勘繰られる可能性があるためです。
メリット4:信頼感が増す
ウィンザー効果を活用して、第三者に自分がよく思われるような意見を伝えてもらうと、相手の自分に対する評価が高まります。
自分と利害関係のない人や、相手が信頼している人や身近な人に、自分が信頼されるに値する人間であることを口コミや噂などの形で伝えてもらいましょう。自分を褒めても何の得もない人の意見は、相手の心に響きやすく、信頼できる人間だと印象付けられるため、効果的です。
「ウィンザー効果」を使った事例-食べログ
食べログとは、ランキングと口コミで探せるグルメサイトです。
多くの方がこのサイトを通じて、グルメ情報を手に入れ、次に行く飲食店を決めていると思います。
多くの方に信頼されるこのサイトは、ウィンザー効果をしっかりと取り入れています。
「食べログ」― ウィンザー効果の特徴
・利害関係のない第三者が評価と口コミの掲載をしている
・評価者・口コミしている人の数が多い
・評価者にアカウントがあり、その人の情報がわかる
このように信頼感・信憑性を持てる要素が多く含まれていることがわかりますね。
また、ポジティブな情報だけでなく、ネガティブな評価が掲載されているところも信憑性が高まるポイントです。
信頼性のある情報とは?
いかがでしたか?情報社会の今だからこそ、改めて考え直したい「ウィンザー効果」についてのお話でした。
ポジティブな情報も多い中、ネガティブな情報も目につき、現代では、時折問題として挙げられます。
ウィンザー効果は、悪口などネガティブな情報についても効果を発揮します。また、ステルスマーケティングといういわゆる「サクラ」や「やらせ」も存在します。ステルスマーケティングは、「利害関係のない第三者」の意見といえず、口コミなどを見て商品やサービスを選ぶ消費者の判断を惑わすため、消費者を騙す行為として避けるべきでしょう。
多くの情報が飛び交う現代ですが、こういったネガティブな情報や誤情報に惑わされないよう、きちんとしたリテラシーを持ち情報の取捨選択を心がけていきましょう。