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心理学から学ぶ 「ブランディングデザインの法則」
2022.11.18
心理学から学ぶ 「サバンナ効果」
心理学から学ぶ 「ブランディングデザインの法則」
なぜか入りたくなるお店やつい見てしまうポスター、思わず買いたくなる商品など。
心理学から学ぶ「ブランディングデザインの話」を掲載しています。
皆さんこんにちは。ブランディングデザイン会社「株式会社SUPERBALL」です。今日は、「照明の心理効果」について書いてみようと思います。
20代の頃の会社員時代、新入社員研修があり「照明の講座」を受けたことがありました。その時のお話が今でも印象に残っています。照明の効果のお話で「サバンナ効果」というものです。入口あたりよりも空間の奥の方の照明を明るくすることで、人が安心感を感じて奥に進むという心理的効果のことです。
初めて訪れた街で、路地裏の赤提灯や明るく灯る看板にふらりと引き寄せられたことはないでしょうか。人は暗い所から明るい所へは引き寄せられ、明るい所から暗い所には入りにくい習性があり、それを利用している効果です。
暗い森の中で迷った人が、木々の隙間から明るい光が見えてきたら、明るい草原(サバンナ)を想像して、暗い森から草原へ駆け出すという例え話から「サバンナ効果」と名前が付けられました。
店舗の奥が暗い店には、あまり入りたくならないですよね。なんとなく、先が暗いと不安になるものです。街灯に集まる虫もそうですが、生物にとって明るい場所は安心、暗い場所は不安として刷り込まれているのでしょう。
SUPERBALLのカフェ部で運営する「OYAKI CAFÉ キイロ」でも、店舗の奥の壁面にアートポスターとディスプレイを展示し、スポットライトを当てることで「サバンナ効果」を活かしています。また、壁面を照らす間接照明にすることで、光のグラデーションが陰影を作り出し落ち着いた雰囲気を演出でき、空間を広く見せる効果もあります。
「サバンナ効果」を利用して、トイレの混雑を緩和した例があります。
GWや夏休みなど、長期連休中は特に混雑してしまう高速道路のトイレ。長年の研究から、「混雑時でも使われていない奥のトイレ」の存在が明らかになってきたそうです。人は入口付近の便器から使用しがちで、一度行列ができてしまうとその後ろに並んでしまうという傾向があるからです。 女性トイレの行列は、空室があるのに待っている人に分からないことが原因になることがあり、空間の奥へと誘導できれば、こうした非効率が減ることが期待できます。
1.個室が並ぶトイレ空間の奥の壁が照明で明るく照らす。
2.扉のイラストを手前に見える前進色の暖色系で大きく描く。
3.一方、手前は少し薄暗く、イラストは青や緑の後退色の寒色系を使うことで奥までの距離を短く感じさせる。
「サバンナ効果」が成功し、手前の個室利用の8%ほどが奥の個室に移行し、まんべんなくトイレ全体が使われるようになったそうです。
照明がもたらす心理的効果をご紹介しましたがいかがでしたか?
心理学に基づいた効果的なデザインを取り入れて、より良い空間にグレードアップしてくださいね。